かつて私は"某レンタルビデオ店"の店員をしていたことがあります。(と、いっても本社とかではなくフランチャイズ契約している企業の社員だったわけですが…)そんなフランチャイズ店の店員でも、この"某レンタルビデオ店"の「強みを最大限に活用」した戦略は凄いものだと感じ入った記憶があります。今回はそんなお話です。※なお、私が勝手に感じたことです。こんな戦略でいく!とかこれっぽっちも聞いたことはありませんのであしからず…
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今の時代、ビデオテープなんてほとんど使われないわけですが、レンタルビデオ店(注:以下レンタル店)全盛時代はあちこちに小さなレンタル店がありました。そんな小さなレンタル店が消滅するきっかけになったのが、さまざまなジャンルを揃え、新作の入荷量も多い大手レンタル店の存在です。

大手レンタル店はそのノウハウをもとに、全国にある地元に密着した多数の企業とフランチャイズ契約を結び、売上はもちろん"会員数"を飛躍的に伸ばし始めます。この"会員数"というのが最大の強みなのは今の時代であればご理解頂けると思います。

以前のレンタル店において、会員とはレンタルをする為の身元証明手続きみたいなもので、商品を借り逃げされないためのシステムであったと思います。ほとんどのレンタル店がそうであり、レンタル業を営む為の"手続き"としか使われていませんでした。

ところが大手は違った。というより、この何気ない"手続き"というものを副産物とし、さらに主産物として活用することで盤石の態勢を作ったと言ってもいいのです。

どういうことなのか?

レンタルという本業収益に加え、フランチャイズ展開により全国各地での初期出店費用を抑え、ロイヤリティという安定収入を生み出す。もう、この時点である程度完成されたシステムです。しかし、さらに凄いことが隠されています。

例として、フランチャイズ店が自分たちの売り上げの為に入会者獲得キャンペーンをして会員数を増やしたとします。当然ですが、その会員数は、現場で努力したフランチャイズ店だけの会員だけではなく、そのまま大手レンタル店の会員になるわけです。ある程度、会員数が増えたところで、大手レンタル店は今後の業界推移や時代の流れを見極め、集まった会員に"宅配レンタル"の存在を周知します。

このサービスを気に入った会員は店舗ではなく宅配レンタルに流れます。出店リスクを減らし、会員数を増やしたら自分のところで直接、レンタルしてもらう。素晴らしい流れです。さらに、宅配レンタルは返却はいつでもOK!延滞なし!これがまたよく考えられている。

宅配レンタルは、月額制で利用本数はプランによりけり。支払いはクレジットカード。商品の返却をしないと月額支払いはしないといけない。つまり、返却されなくても月額の売り上げがあがる仕組み。凄いですね。返却はいつでもよい。という安心感を見事についています。

そして、宅配レンタルユーザーはオンライン配信への布石となり、店舗から始まった会員は宅配レンタルを経由し、インターネットで有料配信動画を見る流れとなるわけです。さらにいえばポイント制度の共有で他業種との顧客シェアを図る。こうなると元のレンタル業はすっかり薄れていますね。

この話から考えてほしい事
自分の業界の"強み"はなんだ!?ということです。その強みで社会を豊かにし、人に役立つことはまだまだあると思うのです。ボーリングの会社が円筒状に穴を掘る技術を生かし、狭いスペースで地下駐車場を作った例などありますがいい例です。直接的な業務の応用もあれば、今回紹介したレンタル店のように副産物をみつけ、その価値を高めるなど、隠された強みもあると思うのです。

現在の形にこだわらず、強みを応用し時代に合わせた展開をする。そう考えるといろんな業種にいろんなチャンスがあるのかもしれません。異業種交流だけに頼らず、斜めから自分たちの仕事を見つめなおすことも大切。

私は理学療法士ですが、作業療法士、言語聴覚士も含め、医療介護の現場、もしくはスポーツの現場で培った専門性は、一般の生活にさまざまな豊かさを提供できると思っています。それこそ"リハビリの仕事"としか世間に認識されていませんから、一般の方にはわからない飛び道具がたくさんあると思っています。

そんなもの皆さんの業界にはありませんか?見落としてませんか?

「これを応用すればどうだろう…?」「あれを使ってみれば…?」日々の業務隠されたチャンスを見つけてみましょう。